2018年 12月 12日
怪しい無料の健康相談にご用心:産経新聞は大丈夫なのか? |
京都大学の本庶佑先生のノーベル賞の受賞をお祝いする大手メディアの一角が、実は「がん患者さんを食い物」するビジネスと癒着している可能性があります。
================================
日時 2018年12月14日(金) 特別講座(13:30~14:45) 個別相談会(11:00~/11:30~/15:00~) 場所 産経新聞東京本社 8階 8B会議室(東京都千代田区大手町1-7-2)
がん治療専門のコンサルティングを手掛ける株式会社GMS代表取締役社長、竹内規夫さんによる特別講座「がんのことが良くわかるお話 ~正しい治療方法の見つけ方~」が12月14日(金)、産経新聞東京本社(千代田区大手町1-7-2)で開催されます。当日は個別相談会も実施されます(事前予約制。無料)。
本講座では、がん治療のコンサルタントとして患者をサポートするとともに、がんに関するセミナーを10年にわたり開催してきた竹内さんが、がんの基礎知識や、保険診療の現状と自由診療の最新情報をお話します。2,500名以上のカウンセリング経験から豊富な事例を紹介し、がん治療の“選択のヒント”を熱く語ります。
事前予約制の無料相談会では、個別面談で状況をうかがい、最適な治療法を探すお手伝いをします。
竹内さんは「がんがどういうものか、保険診療・自由診療・先進医療の違いを知ることで、正しい治療方法を見つける力が身に付きます」と話しています。
お問い合わせ先
先端医療普及プロジェクト実行委員会
(産経新聞社新プロジェクト本部内)
TEL:03-3243-8511
Mail:info-t@sankei.co.jp
講 師 株式会社GMS代表取締役 竹内規夫氏
(プロフィール)
竹内規夫(たけうち・のりお)株式会社GMS代表取締役社長。1978年4月生まれ40歳、和歌山県出身、北海道大学卒
がんの治療コンサルタント。最先端医療の普及活動に取り組む。2008年ごろからがんのセミナーなどに携わり、がん患者をサポートする活動を開始。 悩めるがん患者様があまりに多いことに気づき、「がんに悩める患者様を最適な治療にご案内したい」という想いから、がんに関するセミナーの講師となる。2016年に、がん治療の専門コンサルタントががん患者をサポートする株式会社GMSを設立、現在に至る。
メディアにも多く取り上げられ、「産経ニュース」、「賢者グローバル」、「医療最前線」(千葉テレビ)、「AERA」(朝日新聞出版)、「FLASH」(光文社)、「現代ビジネス」(講談社)など出演多数。
がんを解決に導く、心強いパートナー
がん治療の専門コンサルタントが
患者様とご家族に寄り添い、
ともにがんと向き合います。
患者様にとっての「ベスト」を
一緒に見つけます。
私たちは、あなたにとって最適な治療法を探すパートナーです
もし、あなたが「がん」と宣告されたとき、ご自身とそしてご家族の「ベスト」を考えた冷静な判断ができますか?
おそらく多くの方が戸惑い、最適な治療法はもとより、ご自身やご家族の「これからのこと」を考えるのは難しいでしょう。
そんなとき、がんに関するさまざまな知識を持ったがん治療専門のコンサルタントがあなたをサポートいたします。
確かなコンサルティング力で
患者様を最適な治療へと導き、
患者様と大切なご家族の想いをお守りいたします
とありますが、
「
事業内容 | がんに関する情報提供事業 先端がん医療技術の開発・普及支援事業 先端医療に関する調査、研究、コンサルティング業務及び広報活動 クリニック設立に関するコンサルティング業務 |
---|
」とありますが、要は「広告」しているということです。さらに
提携クリニック・提携企業
には当然のように「未承認」の自由診療を中心とする「がんクリニック」などが並んでいます。これらは日本国内では治療に用いて良いとする「薬事承認」も得られていない、未承認の治療法を用いており、薬として完成を目的とした臨床治験(ちけんといいます)ではなく「臨床研究」ですらなく、医師が保険診療外で未承認の治療法を行なっている自由診療です。
なので、世界中の医学の教科書にもまだ載っていない自称「最先端」の医療で、本来なら開発するために製薬企業が投資して、患者さんに一種の実験に協力してもらって開発するのが医薬品、医療機器なのに、その途上の未完成の治療法で、お金を患者さんからとって治療と称する行為を行なっていますが、「効果が不明」なまま実際に治療を行なっているのが現状です。
実際にそういった治療を受けていた患者さんを在宅医療で診ていましたが、入院施設を持っていないクリニックが多いので、最後は通院できなったらさようならというパターンが多く、闘病しているがん患者さんの経済的な負担だけでなく、場合によっては「エビデンスに乏しい」医療のために、手術治療や抗がん剤治療のタイミングを逸する可能性もあります。
メディアが相談会場の場所を提供して、「医療資格のない」あるいは臨床現場でない方が、中立を装ってがんの治療コンサルタント(しかも自由診療を行なっている医療機関と提携した)を名乗って「無料相談会」を後援するようなのは、どうみても「未承認の自由診療」を推進しているように見えます。
ましてこの方はカウンセリング経験だけで、治療経験はお持ちではないようです。顧問の先生たちがご相談に乗っていただけるのならともかく、民間人が果たして最先端医療について患者さんの質問に正しく回答できて、紹介できるのでしょうか?(紹介状は医師が医師にあてて書くもので、民間のカウンセラーの方が書いたものを、専門職である医師は読みたくはないですが)
メディアもがん患者さんの相談に乗ってあげたいのかもしれませんが、本来は医師、看護師、薬剤師さんなど医療の専門資格に、病状を含めてしっかりした形で相談に乗ってもらって、最終的に患者さんご自身やご家族が決めることです。
民間の「国家資格も不明」な無料相談は、怪しい医療相談でもあります。本来ならば、そこで厚労省がきちんと「指導」をするべきでしょうが、医師法や医療法の隙間をねらっての非常に巧妙な手口です。
こういった怪しい自称「先端医療」とかの推進ははっきり言って患者さんにも迷惑ですし、万が一、自由診療のために患者さんに健康被害を生じても責任はとってくれません。
どうしてかというと、承認されたお薬であれば副作用による健康被害はきちんと製薬企業から拠出されたお金で健康被害について補償されます(ただし正しい使用方法で用いられた場合など厳しい制約があります)、一方、こういった自由診療は医療のことでは法規制がゆるいために、健康被害が生じても訴訟にならない限り、表に問題となって出てきません。
そういった仕組みで泣き寝入りになっている患者さんはそうそう身近にいないかもしれません(がん患者さんの団体に聞くとそういう患者さんのお悩み相談も多いようです)が、「騙された」と気づいた時には手遅れだったりします。
産経新聞が今回は支援してますが、大手出版社も「がん」については本が売れるからか特集が多いですが、外国のきちんとした教科書や最新の医学論文を専門医や専門学会に相談もせずに、いいところだけつまみ食いの形で紹介したり、健康食品の名前を連呼するものがありますが、それらは非常に根拠が乏しいのです。
明らかに医療に役立つ情報や正しい情報は「国立がん研究センター」の[国立がん研究センター がん情報サービス]、あるいは「臨床腫瘍学会」などのがん専門医が所属する学会のウェブサイトです。
それらに自由診療について、推奨コメントが載っていることはありません。どうしてか?それは治療の効果を示す「5年生存率」などのデータを、医学論文の形で報告できていないからです。
未承認の免疫療法については今更ながら「高額だけど非科学的、がん「民間療法」に潜むワナ エビデンスがない治療法も」のように宣伝された広告とは実態がまったく異なることが報道されだしましたが、ノーベル賞の報道で、怪しい民間療法や高額な自由診療を勧めてくるような相談については、「専門医ですか?」とか「5年生存率は?」とか「健康保険が使えない理由」を質問しても、正しい回答がもらえない場合は、そういう方が勧めてくる医療はまず受けるべきではないですね。
by skyteam2007
| 2018-12-12 08:00
| ジャーナリズム