2015年 06月 11日
高騰する新薬を巡る議論が続くアメリカ |
画期的な新薬は、病に苦しむ人にとって福音をもたらしてくれると考えられていましたが、国民健康保険などの財政に厳しい現実を突きつけるものになってきているようです。
ちなみに、この記事に出てくるギリアド社のC型肝炎の薬が日本でも承認されて、保険償還の値段が決定されましたが、確か1日薬価が6.1万円だとかで、年間519万円だけど、アメリカはもっと高いので問題になっています。
今後、ますます付加価値の高い新薬も大切ですが、逆にいうと持続不可能になってしまっては元も子もないので、薬価がきちんと引き下がるような競争が大切ということがわかります。
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新薬薬価収載 C肝薬ソバルディは5月25日発売
ミクスオンライン 2015/05/21 03:51
https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/51569/Default.aspx
【5月25日発売】
▽ソバルディ錠400mg(ソホスブビル、ギリアド・サイエンシズ)
効能・効果:「セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」
薬価:400mg1錠 6万1799.30円
処方日数制限を28日とする。HCVの複製に関わる NS5Bポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制する。この作用機序は国内初。また、今回の効能・効果を持つ経口治療薬も国内初。通常、成人にはソホスブビルとして400mgを1日1回、12週間経口投与する。リバビリンと併用して使う。この発売によってギリアドは、日本で初めて製品を販売する。
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■FDA「ブレークスルー」薬、米政府負担は500億ドルに=調査
WSJ 2015/6/8
http://jp.wsj.com/articles/SB10913733382003054274504581036703246676240
■【アメリカ】なぜ処方薬はそんなに費用がかさむのか?
Yahoo 2015/6/8
Why prescription drugs cost so much
http://finance.yahoo.com/news/why-a-prescription-drug-costs--100-000-143041649.html
抗がん剤が高くなりすぎたため、腫瘍専門医のLoenard
Salts博士は、公に上限を設けるよう求めました。「抗がん剤は高すぎます」と米国臨床腫瘍学会の年次大会で彼は参加者に話ました。スローンケッターリング記念がんセンターの調査によれば、多くの抗がん剤は毎月1万ドル以上の値段で上市されます。
アメリカ国内最大の薬剤給付管理会社のエクスプレススクリプト社は、昨年は57万6千人のアメリカ人が年間5万ドル以上の薬剤を処方されており、これは前年度に比べると63%の増加となります。また、10万ドル以上の薬剤を処方された患者さんは約3倍にもなります。
エクスプレススクリプト社は、これらの高額な費用は米国の納税者に1年あたり約520億ドルの負担増という影響を及ぼしており、このままでは持続不可能とのことです。同社による保険者たちはこの費用の大半を支払っているが、健康保険料や納税者によって賄われているメディケイドのような政府が運営する健康保険にコスト圧力をかけているとのことです。
エクスプレススクリプトは、年520億ドルで、彼らは持続不可能なコール数を米国の納税者にこれらの費用の影響を置きます。
彼らは、保険会社が請求書のほとんどを足見つけるが、コスト圧力健康保険料やメディケイドなどの税金で賄われる政府の医療プログラムを言います。
10万ドル(年間1200万円以上)を薬に費やしている患者の2/3は、がん、C型肝炎および両方に対する治療を受けています。これらの薬に1万ドルや10万ドル以上の薬代になるような、薬価に何によって決定されているのか?
「まず最初に、その薬剤が開発のために治験と承認、そして患者さんの元に届けられるまでに費やした時間とコストを知っておく必要があります」とRobert
Zirkelbach氏は話しました。彼はPhRMA(米国研究製薬工業会)の副理事長で、アメリカのバイオ企業の代表です。「さらに、患者さんや医療制度、そして社会に届けられた薬の価値というものに目を向けなければなりません。」
タフツ大学の薬剤開発についての研究によれば、新薬の開発と承認には10年以上の時間と26億ドル以上のコストがかかります。これらの数字は新薬の開発に費やされたお金と時間を表しています。また臨床治験に進んだ薬のうちわずか12%しか患者さんの元に届けられないというデータが開発の失敗の要因を示しています。
しかし詳細を突き止めることは難しく、我々は画期的な新薬に高い薬価をつけているギリアド社とメルク社の2社に連絡をとりました。彼らは我々に、高い薬価となった理由について明らかにしませんでした。ギリアド社のC型肝炎薬Harvoniは12週間のコースあたり94500ドルで、メルク社のメラノーマの抗がん剤KEYTRUDAは毎月1.25万ドルかかります。
薬価については地理的にも異なることや価値が異なることについて異なった意見があります。
昨年、ギリアド社から発売された画期的なC型肝炎の薬は2014年に120億ドル以上の売上げとなりました。業界紙GENによれば、このSolvadiは発売1年目で世界で一番よく売れている薬の一つになったとのことです。
アメリカ国内では、ギリアド社のHarvoniは12週間あたり9.45万ドルで、その前のバージョンのSovaldiは8.4万ドルでした。しかしヨーロッパにおいて、薬価は国ごとに異なります。ギリアド社によると治療を必要とする人口の多さと、標準的な治療の価格に基づいた交渉が行われているとのことです。ギリアド社は所得に基づいた価格政策を国ごとにとっています。低所得の国たとえばインドでは、この12週の治療に900ドルです。これはアメリカ国内におけるSovaldiのわずか1錠よりも安い価格です。そしてジェネリック医薬品はすでに一部の途上国で発売されています。
アメリカ国内における処方薬の真の価値がどれくらいあるかはっきりと説明するのは困難です。 マサチューセッツ大学におかれている独立した団体
Institute for Clinical and Economic
Reviewによれと、Harvoniの治療コースは全ての患者さんが治療を受けられるように3.4万ドルから4.2万ドルの範囲でもっと安くして、コスト増をさけて健康保険が持続できるようにすべきとのことです。
競争により、保険者が交渉力をもてば、薬価を下げることも出来ます。ギリアド社のC型肝炎の薬のライバルが市場に12月に出現してからは、エクスプレススクリプト社はギリアド社にノーと伝え、ライバル社のAbbVie社の製品を大幅な値段の引き下げる交渉が出来ました。同社によればこれによって、今年は10億ドル以上の節約することになるとのことです。ギリアド社も今年は昨年の平均の2倍以上、平均すると46%の値下げをすることを明らかにしました。
「そして、最終的に、これらの薬剤は特許切れになり、薬価は劇的に下がり、患者さんに画期的な新薬の支払いをまかなう費用が解放されます」とアメリカ国内の健康保険制度が機能しているとしてZirkelbach氏は述べています。
しかし、たとえ値引きや後発品、そして健康保険からの償還がされても、アメリカ人は医薬品の高騰に苦しんでいます。一説によると個人破産の5人中3人が医療費のためです。そして2500万人以上のアメリカ人がお金を節約するために、処方薬をスキップしたり、リフィル処方を遅らせたりしています。
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ちなみに、この記事に出てくるギリアド社のC型肝炎の薬が日本でも承認されて、保険償還の値段が決定されましたが、確か1日薬価が6.1万円だとかで、年間519万円だけど、アメリカはもっと高いので問題になっています。
今後、ますます付加価値の高い新薬も大切ですが、逆にいうと持続不可能になってしまっては元も子もないので、薬価がきちんと引き下がるような競争が大切ということがわかります。
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新薬薬価収載 C肝薬ソバルディは5月25日発売
ミクスオンライン 2015/05/21 03:51
https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/51569/Default.aspx
【5月25日発売】
▽ソバルディ錠400mg(ソホスブビル、ギリアド・サイエンシズ)
効能・効果:「セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」
薬価:400mg1錠 6万1799.30円
処方日数制限を28日とする。HCVの複製に関わる NS5Bポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制する。この作用機序は国内初。また、今回の効能・効果を持つ経口治療薬も国内初。通常、成人にはソホスブビルとして400mgを1日1回、12週間経口投与する。リバビリンと併用して使う。この発売によってギリアドは、日本で初めて製品を販売する。
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■FDA「ブレークスルー」薬、米政府負担は500億ドルに=調査
WSJ 2015/6/8
http://jp.wsj.com/articles/SB10913733382003054274504581036703246676240
■【アメリカ】なぜ処方薬はそんなに費用がかさむのか?
Yahoo 2015/6/8
Why prescription drugs cost so much
http://finance.yahoo.com/news/why-a-prescription-drug-costs--100-000-143041649.html
抗がん剤が高くなりすぎたため、腫瘍専門医のLoenard
Salts博士は、公に上限を設けるよう求めました。「抗がん剤は高すぎます」と米国臨床腫瘍学会の年次大会で彼は参加者に話ました。スローンケッターリング記念がんセンターの調査によれば、多くの抗がん剤は毎月1万ドル以上の値段で上市されます。
アメリカ国内最大の薬剤給付管理会社のエクスプレススクリプト社は、昨年は57万6千人のアメリカ人が年間5万ドル以上の薬剤を処方されており、これは前年度に比べると63%の増加となります。また、10万ドル以上の薬剤を処方された患者さんは約3倍にもなります。
エクスプレススクリプト社は、これらの高額な費用は米国の納税者に1年あたり約520億ドルの負担増という影響を及ぼしており、このままでは持続不可能とのことです。同社による保険者たちはこの費用の大半を支払っているが、健康保険料や納税者によって賄われているメディケイドのような政府が運営する健康保険にコスト圧力をかけているとのことです。
エクスプレススクリプトは、年520億ドルで、彼らは持続不可能なコール数を米国の納税者にこれらの費用の影響を置きます。
彼らは、保険会社が請求書のほとんどを足見つけるが、コスト圧力健康保険料やメディケイドなどの税金で賄われる政府の医療プログラムを言います。
10万ドル(年間1200万円以上)を薬に費やしている患者の2/3は、がん、C型肝炎および両方に対する治療を受けています。これらの薬に1万ドルや10万ドル以上の薬代になるような、薬価に何によって決定されているのか?
「まず最初に、その薬剤が開発のために治験と承認、そして患者さんの元に届けられるまでに費やした時間とコストを知っておく必要があります」とRobert
Zirkelbach氏は話しました。彼はPhRMA(米国研究製薬工業会)の副理事長で、アメリカのバイオ企業の代表です。「さらに、患者さんや医療制度、そして社会に届けられた薬の価値というものに目を向けなければなりません。」
タフツ大学の薬剤開発についての研究によれば、新薬の開発と承認には10年以上の時間と26億ドル以上のコストがかかります。これらの数字は新薬の開発に費やされたお金と時間を表しています。また臨床治験に進んだ薬のうちわずか12%しか患者さんの元に届けられないというデータが開発の失敗の要因を示しています。
しかし詳細を突き止めることは難しく、我々は画期的な新薬に高い薬価をつけているギリアド社とメルク社の2社に連絡をとりました。彼らは我々に、高い薬価となった理由について明らかにしませんでした。ギリアド社のC型肝炎薬Harvoniは12週間のコースあたり94500ドルで、メルク社のメラノーマの抗がん剤KEYTRUDAは毎月1.25万ドルかかります。
薬価については地理的にも異なることや価値が異なることについて異なった意見があります。
昨年、ギリアド社から発売された画期的なC型肝炎の薬は2014年に120億ドル以上の売上げとなりました。業界紙GENによれば、このSolvadiは発売1年目で世界で一番よく売れている薬の一つになったとのことです。
アメリカ国内では、ギリアド社のHarvoniは12週間あたり9.45万ドルで、その前のバージョンのSovaldiは8.4万ドルでした。しかしヨーロッパにおいて、薬価は国ごとに異なります。ギリアド社によると治療を必要とする人口の多さと、標準的な治療の価格に基づいた交渉が行われているとのことです。ギリアド社は所得に基づいた価格政策を国ごとにとっています。低所得の国たとえばインドでは、この12週の治療に900ドルです。これはアメリカ国内におけるSovaldiのわずか1錠よりも安い価格です。そしてジェネリック医薬品はすでに一部の途上国で発売されています。
アメリカ国内における処方薬の真の価値がどれくらいあるかはっきりと説明するのは困難です。 マサチューセッツ大学におかれている独立した団体
Institute for Clinical and Economic
Reviewによれと、Harvoniの治療コースは全ての患者さんが治療を受けられるように3.4万ドルから4.2万ドルの範囲でもっと安くして、コスト増をさけて健康保険が持続できるようにすべきとのことです。
競争により、保険者が交渉力をもてば、薬価を下げることも出来ます。ギリアド社のC型肝炎の薬のライバルが市場に12月に出現してからは、エクスプレススクリプト社はギリアド社にノーと伝え、ライバル社のAbbVie社の製品を大幅な値段の引き下げる交渉が出来ました。同社によればこれによって、今年は10億ドル以上の節約することになるとのことです。ギリアド社も今年は昨年の平均の2倍以上、平均すると46%の値下げをすることを明らかにしました。
「そして、最終的に、これらの薬剤は特許切れになり、薬価は劇的に下がり、患者さんに画期的な新薬の支払いをまかなう費用が解放されます」とアメリカ国内の健康保険制度が機能しているとしてZirkelbach氏は述べています。
しかし、たとえ値引きや後発品、そして健康保険からの償還がされても、アメリカ人は医薬品の高騰に苦しんでいます。一説によると個人破産の5人中3人が医療費のためです。そして2500万人以上のアメリカ人がお金を節約するために、処方薬をスキップしたり、リフィル処方を遅らせたりしています。
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by skyteam2007
| 2015-06-11 07:40
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