2014年 07月 28日
病院機能分化:大病院が遠くなる? |
ちょっとした病気でも大学病院とか500床以上の公的病院に受診する習慣が普通の日本の医療ですが、昨今の大学病院などの混雑ぶりをみるにつけ、かかりつけの医療機関をもつことは必須になっていると感じています。
さらに大学病院では専門的な治療は、診断がつけば確かに受けられるのですが、いわゆる専門家のために「うちじゃない」といわれればゼロから再スタートになることも少なからずあります。
そういう意味では大病院にいきなりの受診することは、患者側が望んでも、国側にとっては無用の検査や専門的な治療が必要ではないのに受診を繰り返すのを抑制しようと考えて来ました。
大学病院=トップの時代は確かにありました。しかし大学病院は万能薬ではなく、病気が珍しい疾患、あるいは救急で救命処置が必要だとかの理由で受診する場合はともかく、風邪だとか高血圧のような一般的な病気でかかるには不向きです。
そういう意味ではこの方向性は正しいはずでうが、どうも世の中にはこの報道を逆手に「受診する権利が奪われた」のように感じる人もいるようです。
もちろん専門の医師が必要なリウマチや血液疾患、難病などは別ですが、普通の人がかかる大半の病気は地域の病院で見てもらったほうがいいです。
これについてはまた考えてもらうきっかけとして、「コンビニ」や「スーパー」でも買えるようなパンとか洗剤を果たしてデパートで買うのか?
大半の人は便利な近くのお店で買いますね。
デパートじゃないと手に入らない高価な貴金属とかブランド品は仕方ないですが、高いし遠いですね。それと同じことが言えます。
ある大学の経営管理研究部のえらい先生が「かかりつけ医制度への疑問」で、大病院にかかる権利を奪われるかのように書いておられますが、残念なことに別にかかれないわけではないのです。
>「この症状は普通と違う」と感じた時には、いきなり大病院に行きたいと思う。
それでも構わないし、紹介状もないままだと情報不足です、そんな中、大学病院で研修医あがりの若い医師の診察を受けたい人は誰も止めません。
自分の経験では、近くの隣近所のベテランの先生の方が、経験があったり、昔から患者さんのことをよく知っていたりするので、かかりつけ医師を持つというのは大切なことです。大病院を選ぶのも患者さんの自由だし、緊急での受診は仕方ないですが、いずれにせよ自分の「かかりつけ医」が相談相手としてふさわしいかはしっかり選ぶしかないと思います。
大病院の利点は、専門家がしっかりいる事だけど、逆に若い医師が何十人と居る中、「いきなり大病院に行って一発勝負する」ようでは、かかりつけ医師の紹介状もなしでは当たり外れは確実です。
そういう無駄な時間とコストをどうやって減らすか国は考えていると思います。大学病院や大病院には、専門的な医療のためにCTやMRIが何台もあります・・・しかも病名はいくらでもあり不必要な検査をする必要ありません。そういう意味では、病院を持ちたいのは一種の贅沢ですね。
今後、大病院に受診する際は紹介状は必須と考えてほしいです。自分が大病院で勤めていたとき、それが無駄だったことは一度もありません。
---------------------------------------------
紹介状なしの大病院受診 負担増の法案を
NHK 7月27日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140727/k10013330901000.html
紹介状なしの大病院受診 負担増の法案を
NHK 7月27日
http://www3.nhk.or.jp/news/
田村厚生労働大臣は、名古屋市で開かれた会合で、地域の診療所などの紹介状なしで大病院を受診する患者の自己負担を引き上げる法案を、来年の通常国会に提出したいという考えを示しました。
この中で田村厚生労働大臣は、日本の医療について、「患者がはじめから大きい病院に行ってしまう。そうすると大きい病院に緊急で搬送されてきた患者が適切な医療を受けにくくなる」と述べ、地域の診療所などの紹介状なしで大病院を受診する患者が多く、大病院での重症患者の治療に支障が出かねないという認識を示しました。(以下略)
この中で田村厚生労働大臣は、日本の医療について、「
------------------------------
Medifax digest 2014/7/9
http://mfd.jiho.jp/servlet/mfd/news/article/1226577977693.html
社会保障審議会・医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大経済学部長)は7日、医療保険制度改革法案の来年の国会提出に向けて、紹介状なしで大病院を受診する場合の患者負担の在り方や、入院時食事療養費・生活療養費の負担などの具体的な議論に入った。大病院を紹介状なしで受診する初・再診患者について一定の自己負担を求める方向に反対する意見はなかったが、現行の選定療養の仕組みで病院が徴収している自己負担の実効性を示すデータを踏まえて議論を深めるべきとの意見が複数あった。定額の負担額については初・再診料を上回る金額を求める意見が出た。厚生労働省は9月以降の議論で、負担額を入れた案を提示する方針だ。(中略)
●方向性は賛同、外来分離認めない措置を 日医・鈴木委員
鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「紹介状なしで大病院を受診した患者の定額負担を求める考え方の方向性はよい。今回の診療報酬改定での紹介率・逆紹介率をめぐる項目の検証を進めながら、大学病院および特定機能病院から始める方向でよいのではないか」と提案した。「その際には外来分離は認めないことを同時に措置することが必要だ」とも付け加えた。定額負担の金額については「今後の議論だろうが、われわれとしては初・再診料相当分では少なく、“プラスアルファ”の金額ではないか」と述べた。高額療養費の対象にはしないとした。(以下略)
---------------------------------------------
by skyteam2007
| 2014-07-28 07:30
| 医療