2014年 04月 08日
ディフェンシブ銘柄から製薬企業が外れる日 |
今日は「武田薬品に6200億円賠償認定 糖尿病薬巡り米陪審武田「上訴含め異議申し立てる」や「第一三共、後発医薬品強化に失敗 印子会社譲渡へ 海外展開困難浮き彫り印子会社譲渡へ 海外展開困難浮き彫り 」といったニュースが流れてきました。
これまでのイケイケだった日系製薬企業にとって、アメリカの陪審制度が巨額の懲罰的賠償金や海外進出の失敗といった暗いニュースです。
日本の医薬品市場はおよそ8兆円で、その中でこれまではさまざまな規制によって守られてきたのが、MOSS協議をきっかけに海外のメーカーがどんどん参入し、日本の医薬品市場はさしずめウィンブルドン現象となっております。
従来の日本でこつこつ開発し、日本で売れたら海外の企業に売ってもらうような形でのビジネスは終わりを迎え、国際共同治験で世界同時発売にこぎつけ、なるべく速く世界中で市場シェアをとらないと他社に奪われるリスクが増えました。
このため、日本の製薬企業は新薬の開発も海外で先行させる動きなどみせ、ほぼ国外とのドラッグラグがなくなってきました。
逆に言うと、自分たちの市場にクジラのような大きなメガファーマとよばれる巨大な外資系製薬企業が日本市場に攻め込まれ、日本国内でも海外の企業による製品(シェアベースではなく開発国ベース)が7割近くを占めるまでになっています。
上記を見れば、日本のトップの武田でもランキング第14位程度、あとはみな20位前後です。それだけ競争相手が手ごわいのが現状です。
これから生き残れるのは日本がいくら世界第二位の製薬市場とはいえ、数社だと思います。大手4-5社は海外でも日本で優れた製品を開発し、それをアメリカやヨーロッパでも売り上げており、海外と日本での売り上げを比較すると海外のほうがおおい企業がありました。
そのうちの2社が今回のような形で同時に報道されることはきわめてまれですが、製品特許にて長期的(10年前後)に安定的な収益があがるビジネスモデルが、徐々に変化しつつあります。
日本は特に特許切れしても、そのまま売れ続けることが多かったのですが、今年の春の改定から、大幅に後発品(ジェネリック)に変更することになります。
つまり制度としては安定収益が得られる期間が短くなり、特許切れとともに後発品に切り替わってしまうアメリカと同じようになりました。
業界トレンドは大勢の患者さんに使われる降圧剤や生活習慣病を対象とする低分子薬からいわゆるがんや免疫・アレルギー疾患を対象とする高価な分子標的薬へ変化しています。
そのような開発ができないあるいはできていなかった企業が、下記の2社ともいえます。
特許切れと戦うために、他社(時間)を買ったはずなのに、失敗してしまった2社を笑えません。後発品の対策を進めている病院側からすれば、特許の切れた先発医薬品を切り替えることで診療報酬があがるシステムに変更になったことはすべての製薬メーカーにとっても大きなリスクです。
海外のメーカーは他の国でも収益を上げていますが、内資系製薬企業にとっては大きな荒波にもまれることになると思います。
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武田薬品に6200億円賠償認定 糖尿病薬巡り米陪審武田「上訴含め異議申し立てる」
日経新聞 2014/4/8
武田薬品工業が糖尿病治療薬「アクトス」に関連するガン発症リスクを隠していたとして米国の男性が同社を相手に起こした訴訟で、ルイジアナ州ラファイエットの連邦地裁の陪審は7日、武田に60億ドル(約6200億円)の懲罰的賠償金の支払い義務があると認定した。
アクトスの情報開示を巡り、全米各地で訴訟が起こされたが、米連邦裁判所で判断が下されたのは初めてだという。同陪審は武田の米での提携先である米イーライ・リリーに対しても、30億ドルの懲罰的賠償金の支払いを認定。今後、判事が支払い義務などを判断する。
提訴した男性はアクトス投与が原因でガンになったと主張。男性の弁護側は、アクトスとぼうこうがんとの関連性を示す研究結果について、武田が7年以上も具体的な警告を発するのを怠ったのは偶然や過失ではないと述べたという。(以下略)
日経新聞 2014/4/8
武田薬品工業が糖尿病治療薬「アクトス」に関連するガン発症リスクを隠していたとして米国の男性が同社を相手に起こした訴訟で、ルイジアナ州ラファイエットの連邦地裁の陪審は7日、武田に60億ドル(約6200億円)の懲罰的賠償金の支払い義務があると認定した。
アクトスの情報開示を巡り、全米各地で訴訟が起こされたが、米連邦裁判所で判断が下されたのは初めてだという。同陪審は武田の米での提携先である米イーライ・リリーに対しても、30億ドルの懲罰的賠償金の支払いを認定。今後、判事が支払い義務などを判断する。
提訴した男性はアクトス投与が原因でガンになったと主張。男性の弁護側は、アクトスとぼうこうがんとの関連性を示す研究結果について、武田が7年以上も具体的な警告を発するのを怠ったのは偶然や過失ではないと述べたという。(以下略)
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読売新聞 2014/4/8
第一三共は7日、インドの後発医薬品子会社ランバクシー・ラボラトリーズを同国の製薬大手に譲渡すると発表した。
海外企業の買収をテコに事業拡大を目指した第一三共の戦略が挫折したことは、製薬企業による海外展開の難しさを浮き彫りにした。
第一三共がランバクシーを譲渡する相手は、サン・ファーマシューティカル・インダストリーズで、第一三共は代わりにサン・ファーマ株の9%を受け取る。第一三共の中山譲治社長は7日の記者会見で、「より優れたジェネリック(後発医薬品)のパートナーシップ(協力関係)を結べた」と強調した。
ただ、第一三共によるランバクシーの買収額が4900億円(2008年当時)だったのに対し、サン・ファーマ株9%の価値は2100億円。第一三共は5年半で2800億円を失った計算だ。(以下略)
by skyteam2007
| 2014-04-08 21:40