2014年 03月 20日
訪問診療、バッシング報道の果て? |
自分も去年の秋、さかんにメディアが、16kmの距離を越えて訪問したり、患者さんを紹介してくれた施設にキャッシュバックをしている訪問診療している医療機関の話が報道されて、こんなに速く、行政が手を打つとは思いませんでした。
しかしいわゆる「ハシゴ外し」の方法としては、それなりに考えられたもので、無理しなければ従来ほどではないのですが、継続できます。ただ、訪問診療を使って、医療のアクセスを得ていた利用者のことを考えると、ちょっとさびしい気がします。
自分も去年、ある雑誌が特集して年間3000人~4000人近くの訪問診療を受け持っていて、在宅見取りゼロ、緊急往診ゼロという見事な医療機関があるのを知って驚きましたが、そういう医療機関がやはり夜間の急変などでどういう対応をされていたか興味があります。
政府が「地域包括ケアシステム」の確立を求めていますが、急変時はまったく対応せず、在宅医療のおいしいところだけ持っていく医療機関には否定的な意見があって当然で、それを政府が対策に乗り出したのは止むを得ないな・・・といったところが個人的な感想です。
また本質的には、訪問診療は囲い込みビジネスではなく、連携によってすんでいる場所が病室であり、出入りする介護職や医療職の多職種連携によって行われる、医療・福祉サービスで、それを医療側だけたたくのは安易かな?とも思っていました。
利用者が、長期療養してくれる施設や病院にお任せだったのが、舞台が介護施設であったりサービスつき高齢者住宅に変わっただけで、結局は地域の自宅に戻れない受け皿として介護系サービスや在宅医療を作ってきた国が、いまさらのように急に逆に抑制することに熱中するのも、ゆがんだ現場を意識してのことだと思います。
ただ、訪問診療でもハシゴはずしをされると、今後、地域包括ケアといった旗振りされて運んだ先に大変な未来が待っているのは医療を提供する側も、そして利用者さんも希望しません。
そういった意味では、セイフティネットの一つである、在宅医療や生活保護の欠陥をたたいて健全にする必要はあるけど、
「必要悪」みたいな部分もあって、それがないと厳しい現実に突き当たることをわれわれは知らないとなりません。
「訪問診療」拒否に泣く老人ホーム 朝日のバッシング報道を機に訪問診療報酬が4分の1に激減し、要介護者から悲鳴。
FACTA 2014年4月号
http://facta.co.jp/article/201404012.html
FACTA 2014年4月号
http://facta.co.jp/article/
「これでは医師が来なくなってしまう」「医療ケアが必要な重度者を退去させねば」「看取りができなくなる」―――。
要介護状態の高齢者を受け入れる有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、グループホームなど、ケア付き集合住宅の事業者たちが怒っている。「病院や施設でなく住宅で過ごしましょう、という国の政策を逆転させるとんでもない措置だ」と声をそろえる。2月12日に開かれた第272回中央社会保険医療協議会(中医協)総会が4月からの診療報酬の改定案を厚生労働大臣に答申し、同一建物内の訪問診療の報酬を大幅に下げたためである。(以下略)
by skyteam2007
| 2014-03-20 18:47
| 医療