2014年 02月 05日
診療報酬改定:国民の目に触れないうちにガス抜き完了? |
今日は中医協の総会が開催されました。いよいよ大詰めです。先月あった公聴会とかパブコメを反映しているのですが、「以下同文」でまとめられています。
「平成26年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」 に関するご意見の募集の結果について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000036577.pdf
この中で注目すべきはわずか1027例のうち、医師40.1%、歯科医師24.3%、薬剤師3.8%、看護師3.1%、その他の医療従事者13.9%で、結局医療従事者や関係者だけで85.2%を占めてしまい、一般の方はというと残り15%弱。
「平成26年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」 に関するご意見の募集の結果について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000036577.pdf
貴重な医療費の使い道について、国が決めるのですが、国民の関心が高くないのでちょっと驚きでもありました。
もちろん、会議が週2回、資料は毎回、山のようにあり、かつまた専門用語だらけですが、国が決めてしまうとそれに医療を受ける患者さんへの影響を考えると、もう少し事前に保険料を納めている国民の「意見」を集めたり、どういう風に使ってほしいかを聞いてほしいかなぁです。
いつもそうですが、中医協という参加する委員は限られたステークホルダーだけで、公益代表といっても団体の推薦であったり、いろいろあります。
中には、診療を受け終わった後に、支払う診療費のレシートの詳細を全員に発行を促す方もメンバーにいました。そして国民はその詳細な内容を保存をするようにと言ってましたが、果たしてそういうものを国民全員が求めているのかは疑問です。
[車検の際に、自動車の修理等の明細書を車検証と一緒に保管しておくように、患者は、領収書と診療明細書はもちろん、検査結果の写しや治療方針を記した説明文書など、受け取った文書は全てまとめて保管しておくべきです。]
えーと、個人的には大切な病名だとか診断内容の他、治療内容なんかも書かれている書類をその都度受け取るのは希望した時でいいんじゃないかと。むしろ紛失したり、落とした時に自分の名前と病名が分かってしまうような書類が毎回訪問するたびに受け取っても困るんじゃないかなぁ・・・?です(薬害被害者のご家族の方なので、過去に医療側と法廷で戦った時に必要だったのでわからなくもないですが、欲しいかどうか?です)
そのためのコストは病院が負担します。患者さんは果たして本当に「詳細な内容の紙を希望」していたのか?
そしてそんなものよりも、急性期の病院の経営がたいへんなことになりかねない改定があります。それが7:1病床の削減。国は増えすぎたから減らすということを決めていましたが、いよいよです。
地元の病院が経営不振になったりするかもしれません。それは下記の通り、他にもデメリットも医療側と思われる意見からもわかります。
パブコメの意見を見てみましょう。
「平成26年度診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」 に関するご意見の募集の結果について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000036577.pdf
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000036577.pdf
■7:1病床減らし
・7対1、10 対1病棟での特定除外制度の見直しは、長期療養患者を病院から追い出さざるを得ないことになりかねず、反対。
・7対1、10 対1病棟でも、医療上の必要性から一定長期間の入院が必要な患者がおり、特定除外制度が廃止されると、必要な医療の提供が継続できなくなることが懸念される。
・7対1、10 対1病棟の特定除外制度の見直しは、退院を強制されることにより、行き場を失う患者も出てくるので、見直しは行わないこと。
・7対1、10 対1の特定除外制度を廃止してしまうと、高齢者の転院先が少ない現状では、高齢者の救急受入に弊害がでるので、反対。
・特定除外制度の廃止でなく、特定除外制度の要件や特定除外患者の内容をまずは検討対象とすべき。 「同旨 16 件」
■主治医機能
・主治医機能は、初再診料等の基本診療料の引上げ、診療情報提供料等の評価拡大で評価すべき。「総合診療医」と同一の機能をもつものに限定すべきでなく、包括化、人頭払い、フリーアクセスの制限は認められない。
・主治医機能の評価は、出来高算定を基本とし、他科診療所へのアクセスを妨げてはならない。
・複数の慢性疾患をもった患者に対して一人の医師に主治医機能を持たせることは、医師の負担が大きい、複数の医療機関の情報を集約するのが困難、どれが主病で誰が主要な管理者になるか決められない、主治医選択を患者に任せると医師―患者の信頼関係を傷つける、医院の患者囲い込みを誘発、不合理な診療所選別が起こりかねない等の問題。
・後期高齢者診療料のような点数は、復活すべきでない。
・診療報酬は原則出来高払いとすべき。「同旨 20 件」
・7対1、10 対1病棟での特定除外制度の見直しは、長期療養患者を病院から追い出さざるを得ないことになりかねず、反対。
・7対1、10 対1病棟でも、医療上の必要性から一定長期間の入院が必要な患者がおり、特定除外制度が廃止されると、必要な医療の提供が継続できなくなることが懸念される。
・7対1、10 対1病棟の特定除外制度の見直しは、退院を強制されることにより、行き場を失う患者も出てくるので、見直しは行わないこと。
・7対1、10 対1の特定除外制度を廃止してしまうと、高齢者の転院先が少ない現状では、高齢者の救急受入に弊害がでるので、反対。
・特定除外制度の廃止でなく、特定除外制度の要件や特定除外患者の内容をまずは検討対象とすべき。 「同旨 16 件」
■主治医機能
・主治医機能は、初再診料等の基本診療料の引上げ、診療情報提供料等の評価拡大で評価すべき。「総合診療医」と同一の機能をもつものに限定すべきでなく、包括化、人頭払い、フリーアクセスの制限は認められない。
・主治医機能の評価は、出来高算定を基本とし、他科診療所へのアクセスを妨げてはならない。
・複数の慢性疾患をもった患者に対して一人の医師に主治医機能を持たせることは、医師の負担が大きい、複数の医療機関の情報を集約するのが困難、どれが主病で誰が主要な管理者になるか決められない、主治医選択を患者に任せると医師―患者の信頼関係を傷つける、医院の患者囲い込みを誘発、不合理な診療所選別が起こりかねない等の問題。
・後期高齢者診療料のような点数は、復活すべきでない。
・診療報酬は原則出来高払いとすべき。「同旨 20 件」
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自分は、中医協の在り方を全部見直せなんてことは言いません。2年おきと決めちゃっている改定作業のお尻から決めると改定の議論は半年以上時間をかけています。しかし国民の意見を聞く時には、ほとんど出来上がっており、「まとめ」を見せて、1週間程度で大丈夫かを判断するのは困難でしょう。
自分は現場に戻ってみて、結局、患者さん一人ひとり希望が違っていたり、国の政策ではおさまりきらない患者さんなどを診ていると、「医療費節減」は大切だけど、一人ひとりを尊重できるようなシステムや気持ちを反映できたらいいなぁです。
自己防衛のために「がん保険」や「入院保障」を山のように売りつける保険会社が悪いとはいいませんが、厚生労働省がもう少し国民に分かりやすい情報提供をしないで、専門家の間ではこう決まりそうです、意見を聞いておきましたで型どおりのやり方だと、今後ゆがみが強くなった場合、7:1病床を増やしすぎて、看護師不足を生じたような失敗を塗り重ねることにならないか懸念はしておきます。
by skyteam2007
| 2014-02-05 22:54
| 医療