2007年 02月 19日
[厚労省指針]ICUに専任常勤医 |
集中治療室について、厚生労働省が指針を出してきました。集中治療室の事故発生率が高いからでしょうが、実際問題として、病院のどこでも事故はおきるし、救急や集中治療室、オペ室など緊急性の高い医療を行う所では、スタッフの習熟や機器の整備によっては危険度の高い事故が生じる可能性があります。
この実態は以前から分かっていると思いますが、この新しい指針は病院や医師側にとって新たな負担でしかありません。
集中治療室の医師は常勤といえ、24時間居るワケではありません。不在時はやはり当直医が詰めることになります。結局、交代制をしくならば、5~7人は必要でしょう。しかし、これは病院に対して、医師の確保する費用を押しつけ、常勤医師をおかせて誰でも専門でもなくて医師がいれば、結局、それでよし。
内科医や外科医の確保に汲々としている病院にとり、今まで以上に負担増です。地域の拠点・基幹病院は救急治療の大切な引き受け手ですが、救急医学の専門の医師は実はすごくなり手が少ないのです。
その数、全国でたった2500人あまり。救急科専門医名簿(2007年1月1日現在 2,509名)をみればわかりますが、分布は都市部に集中しています(人口80万人の島根県13人、人口186万人の三重県10人、人口730万人の愛知県114人、人口880万人の大阪府274人、人口1267万人の東京都394人)。
救急専門医の集まらない地方の基幹病院の場合、一般の内科や外科医がつとめることになります。結局、そのために救急に不慣れな医師までもかり出されるのですが、医師不足のおりもあって常駐させるだけの余裕がない病院もあるように思います。
ちなみに新しく救急専門医をとるのに元上司が四苦八苦していたのを覚えています…自分はとるには経験が不足していましたし、取るために新たに大学病院に勤務して経験を積まねばならないような仕組みで一般の病院クラスでは、なかなか育成もままなりません。 本文
さらに数年ごとに学会発表をしないと維持できない制度、誰もが大変苦労する。でも当たり前なんですが専門医を持っていても給料が増えたり、有給休暇が特別多いなんてことはありません。
病院の中でも雑用係として何でも屋みたいにコキ使われ、会議でも事故防止対策とか色々言われるだけで、うれしくも何ともない…そんな面倒な立場に追い込まれてしまう…そんな気がして同期の医師でも取ることは少なかった救急専門医。
国はいいですよね…答申をもとに勝手に指針とか出すだけだから。だけど言っておく、人手不足の折、そんなことを言ったら救急病院で確保できないところは救急医療から撤退するし、無理できなくなります。ただでさえ不採算の現場に人を確保するお金(今まで以上に育成に10年近い専門教育に時間がかかります)を国はほとんど投入しないで実現させたいようです、でも僕の経験からそんなの無茶ですよ。そして小児科や産婦人科の二の舞になるのではないか?そう思いませんか?ぽち→
公立豊岡病院、新生児ICU閉鎖も 神戸へ搬送必要に
FujiSankei Business i. NWC_start_date2007/2/18
厚生労働省は17日までに、集中治療室(ICU)での治療が必要な重症患者に対し、安全に医療を提供するための指針をまとめた。致命的となる確率が高いICUでの医療ミスを防ぐため、ICUに医師の責任者を1人配置し、指揮系統を明確にするほか、人工呼吸器などの生命維持管理装置を操作する際は記録で残すと定めた。
指針は、ICUに専任の常勤医を病床数と患者重症度に応じ1人以上、看護師は患者2人に対し1人以上置く。責任者の医師のもと、薬剤師や臨床工学技士などと連携したチーム医療を行うため、1日に最低1回は打ち合わせをする。ミスを防ぐため、引き継ぎの際は文書で情報伝達を行う。
生命維持管理装置については、操作やトラブル処理のためのマニュアルを整備し、使用状況を記録で残す。
このほか、ICUでは患者が極度の不安に陥りやすいため、病室の配色や照明、採光などに配慮するとした。
日本医療機能評価機構が2005年、全国272の医療機関を対象に行った調査では、一般病室で起きた医療事故477件のうち死亡事故は62件(13・0%)だったのに対し、ICUで起きた医療事故35件のうち死亡事故は11件(31・4%)。ICUでの事故は、患者の死につながる確率が高い。
by skyteam2007
| 2007-02-19 22:55
| 医療