[医療訴訟予防の処方箋?] |
実際に自分も、ICUに患者さんを持っているときは朝・夕の定期的な回診以外に、家族の面会時間にはなるべくベッドサイドに行くようにしていました。逆にいうと、こういった時間をいまの医療現場は余裕がないくらい、汲々としているのが実態ではないでしょうか?でも、面会時間は制限されている中、がんばってお見舞いに来た家族にとって、主治医や担当看護師に会えない時に、担当外の人に聞いて「主治医に聞いてください」とか「お約束はありますか?」とか言われちゃって、途方にくれてたり…そんなことから溝が深まるのではないでしょうか?ぽち→
すこし長く話しを聞くことで、ICUで死に行く患者の家族の精神的負担を軽減できる
2007-02-01 死に行く終末期患者の家族と通常よりもほんの10分ほど長く会話をすることで、集中治療室(ICU)で死亡した患者の家族の精神的負担を軽減できると分かりました。
この試験はフランスの22のICUにおいて実施されました。
死に行く患者126人の家族は詳細なガイドラインに従ってセットアップされた話し合い(conference)をする群(介入群)と各病院の通常の診療に基づいて話し合いをする群(コントロール群)に振り分けられました。
介入群では、介護者(caregiver)は次の5つの方針に沿って家族と接しました。
・家族が言ったことを十分に理解し、その言動を尊重する。
・家族の感情を理解する。
・傾聴する。
・患者を1人の人間として理解できるように質問する。
・家族からの質問を引き出す。
介入群での話し合いの時間の中央値は30分、コントロール群では20分でした。また、家族が話した時間も介入群の方が長くなっていました(14分 vs 5分)。家族には死別に関する情報を記したパンフレットが手渡されました。
追跡調査の結果、患者の死後90日時点で介入群の家族メンバーは心的外傷後ストレス障害、不安、うつに関連した症状の指標となるスケールのスコアが有意に低くなっていました。
この結果から、ICUで死に行く患者の家族と時間をかけて人間的な会話を交わすことで、患者が死亡した後の家族の精神的負担を軽減できると分かりました。
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A Communication Strategy and Brochure for Relatives of Patients Dying in the ICU. NEJM. Volume 356:469-478 February 1, 2007 Number 5