2015年 10月 11日
守秘義務すら守れぬセカンドオピニオン医師、近藤誠氏を重用するメディアの責任 |
今月の月刊誌「文芸春秋」には、
二年前、彼女は私のセカンドオピニオン外来を訪ねてきた──
川島なお美さんはもっと生きられた 近藤 誠
という8頁のインタビュー記事をまとめたものです。中身は立ち読みでいいし、購入するような雑誌ではないのですが、芸能人がわざわざ、時間を割いて、30分の面談をしたことや、彼女自身が、舞台のスケジュールを優先して、治療について悩んでいることについて書かれている。
また手術方法が内視鏡手術だったことを批判もしているが、手術が失敗したのは別の医療機関であるし、手術後は退院もし、舞台にも復活しており、間違った形で「内視鏡手術=危険」な手術かのような論評もしている。
医学的には、術後の合併症で退院が延長したり、退院後6週間以内に再入院もなければ、それは外科手術としては成功したと見るべきであり、主治医との判断で「患者さんが選んだ治療」の内用について、あれこれ言うのはいかがかな?である。
ましてセカンドオピニオンで聞いた、他の病院もセカンドオピニオンに行ったとか、他の医療機関の受診したことまで、患者の悩みを聞いて解決を支援するのがメインのはずなのに・・・である。その1回だけの受診であったから、実は彼は何も知らないのである。
治療の内容はメディアを通して報道された以外は、手術前の状況のみ。それを「あれはよくない」「もっと生きられた」
本人の治療を一切していない近藤氏による意見陳述は匿名であればいいが、こういった有名人も受診するようになったのは文芸春秋などを中心とするメディアのおかげである。
菊池寛賞を差し出した文藝春秋社は、この他にも、文芸春秋11月の増刊号「 医者とクスリに殺されない賢い患者学」にはなんと表紙扱い。
もちろん、患者さんにとっては「がん治療」で悩むのであるのだから、そのためにセカンドオピニオンとして期待したいところだが、果たして、患者さんがなくなってから遺族の同意やなくなった方の意思を問わずに、あれこれぺらぺらと語るような内容だったか・・・である。
手術より他の治療を模索される患者さんは多いと思う。癌に直面して、悩み、他の医師に別の治療方法がないか相談するのがセカンドオピニオン。
これらは、ご遺族に確認しないで、良かったのだろうか?こういった「ルール違反」をこの文芸春秋社は訴訟になるリスクも含めてきちんと調べたとは思えない。
我々は医療者は、絶対に自分の治療した患者のプライバシーを表に出さないことを守る。それが
責務であるはずである。
医師としてその責務を忘れ、本を売るためなら患者のプライバシーなど関係ないといわんばかりの近藤氏。そしてそれをアシストし続けるメディア各社の姿勢、いずれにせよこういったメディアが本当に患者さんのために近藤氏を活用しているようには見えない。
患者のプラバシーを切り売りする卑しい商売に手を染めた近藤氏に未来はあるのだろうか?メディアの責任は大きいと考えられる。
なお、患者さんのプライバシーについては訴訟が出来るのは本人と親族だけの親告罪なので、今回はどうなるかはわからない。しかし、近藤氏は患者さんのことを考えている医師ではないと思う。前述の通りである。
医師が事前の同意なく患者の診療情報を漏示した行為の違法性
本件は、会社で業務に従事していた際に負傷した従業員が、病院において医師の診察・治療を受けるとともに、会社に対して損害賠償を請求する訴訟を提起していたところ、医師が会社の担当者に当該従業員の診療情報を漏えいしたことにより精神的苦痛を被ったと主張して、医師および病院に対してそれぞれ損害賠償を求めた事案である。
裁判所は、医師が職務上知り得た患者の秘密について、正当な理由なくこれを漏示してはならないとしたうえで、患者の別件訴訟の相手方に患者の診療情報について説明をした行為は違法であり、責任を免れないとした。(さいたま地裁川越支部平成22年3月4日判決)
なお、日本病院会には医師・看護師らが守るべき患者さんの個人情報の問題についてまとめてある。
プライバシー尊重と個人情報保護
刑法134条 「秘密漏示」
医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産婦、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
2 宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする。
(参考:上記条文に対する条文)
刑法135条 「親告罪」
この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
二年前、彼女は私のセカンドオピニオン外来を訪ねてきた──
川島なお美さんはもっと生きられた 近藤 誠
という8頁のインタビュー記事をまとめたものです。中身は立ち読みでいいし、購入するような雑誌ではないのですが、芸能人がわざわざ、時間を割いて、30分の面談をしたことや、彼女自身が、舞台のスケジュールを優先して、治療について悩んでいることについて書かれている。
また手術方法が内視鏡手術だったことを批判もしているが、手術が失敗したのは別の医療機関であるし、手術後は退院もし、舞台にも復活しており、間違った形で「内視鏡手術=危険」な手術かのような論評もしている。
医学的には、術後の合併症で退院が延長したり、退院後6週間以内に再入院もなければ、それは外科手術としては成功したと見るべきであり、主治医との判断で「患者さんが選んだ治療」の内用について、あれこれ言うのはいかがかな?である。
ましてセカンドオピニオンで聞いた、他の病院もセカンドオピニオンに行ったとか、他の医療機関の受診したことまで、患者の悩みを聞いて解決を支援するのがメインのはずなのに・・・である。その1回だけの受診であったから、実は彼は何も知らないのである。
治療の内容はメディアを通して報道された以外は、手術前の状況のみ。それを「あれはよくない」「もっと生きられた」
本人の治療を一切していない近藤氏による意見陳述は匿名であればいいが、こういった有名人も受診するようになったのは文芸春秋などを中心とするメディアのおかげである。
菊池寛賞を差し出した文藝春秋社は、この他にも、文芸春秋11月の増刊号「 医者とクスリに殺されない賢い患者学」にはなんと表紙扱い。
もちろん、患者さんにとっては「がん治療」で悩むのであるのだから、そのためにセカンドオピニオンとして期待したいところだが、果たして、患者さんがなくなってから遺族の同意やなくなった方の意思を問わずに、あれこれぺらぺらと語るような内容だったか・・・である。
手術より他の治療を模索される患者さんは多いと思う。癌に直面して、悩み、他の医師に別の治療方法がないか相談するのがセカンドオピニオン。
これらは、ご遺族に確認しないで、良かったのだろうか?こういった「ルール違反」をこの文芸春秋社は訴訟になるリスクも含めてきちんと調べたとは思えない。
我々は医療者は、絶対に自分の治療した患者のプライバシーを表に出さないことを守る。それが
責務であるはずである。
医師としてその責務を忘れ、本を売るためなら患者のプライバシーなど関係ないといわんばかりの近藤氏。そしてそれをアシストし続けるメディア各社の姿勢、いずれにせよこういったメディアが本当に患者さんのために近藤氏を活用しているようには見えない。
患者のプラバシーを切り売りする卑しい商売に手を染めた近藤氏に未来はあるのだろうか?メディアの責任は大きいと考えられる。
なお、患者さんのプライバシーについては訴訟が出来るのは本人と親族だけの親告罪なので、今回はどうなるかはわからない。しかし、近藤氏は患者さんのことを考えている医師ではないと思う。前述の通りである。
医師が事前の同意なく患者の診療情報を漏示した行為の違法性
本件は、会社で業務に従事していた際に負傷した従業員が、病院において医師の診察・治療を受けるとともに、会社に対して損害賠償を請求する訴訟を提起していたところ、医師が会社の担当者に当該従業員の診療情報を漏えいしたことにより精神的苦痛を被ったと主張して、医師および病院に対してそれぞれ損害賠償を求めた事案である。
裁判所は、医師が職務上知り得た患者の秘密について、正当な理由なくこれを漏示してはならないとしたうえで、患者の別件訴訟の相手方に患者の診療情報について説明をした行為は違法であり、責任を免れないとした。(さいたま地裁川越支部平成22年3月4日判決)
なお、日本病院会には医師・看護師らが守るべき患者さんの個人情報の問題についてまとめてある。
プライバシー尊重と個人情報保護
刑法134条 「秘密漏示」
医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産婦、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
2 宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする。
(参考:上記条文に対する条文)
刑法135条 「親告罪」
この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
by skyteam2007
| 2015-10-11 22:06
| 医療