2015年 06月 08日
介護難民対策に「寺院崩壊」が教えてくれるもの |
先週「寺院崩壊」という本を買いまして読みました。
江戸時代に檀家制度が農民の支配の道具として用いられたのが、明治維新の後、廃仏毀釈で大きく変わり、さらに戦後の高度成長期の人口流出などで地方と都市部の間に大きな人口移動が地方の寺院の荒廃の原因の一つですがそれ以外に地域の経済が影響しています。
昔は地域経済が栄えていたものの…世界遺産ブームが去ってしまった島根県の石見銀山とか長崎の離島も含め、日本中で問題になっているのは、高齢者のみ残された地域ではお寺さんを維持するだけの檀家がどんどん減っていること。
一方、都市部周辺部ではお寺を新しく開設する動きがあるなど、最近の病院のトレンドと良く似ているなぁ・・・でした。
明治初期に廃仏毀釈の流れが強かった鹿児島ではお寺が一旦ゼロになったお話や戦時中の仏教が宗派を問わず、戦争に支援する側に回ったこと、さらに農地改革も寺院の経営に引いていることも発見でした。あと、檀家をほとんど持たない尼寺のことも非常に示唆深いものがあります。
最後に今後の高齢化社会でヒントになりそうなのは、ハワイに出てった仏教系寺院が日系2世までは祀るけど、その子らとなる日系3世となると結局、父親や母親の世代が仏教なのはわかる、でも自分たちは違うというコミュニティの連携が切れ、個人として仏教を信仰するかという話になり、檀家制度が今後も永続する保証はどこにもありません。
今回、日本創成会議・首都圏問題検討分科会が出した「高齢者の地方移住提言」は、受け入れを求められている地域コミュニティ側や高齢者予備軍にとっては寝耳に水、政府や東京側だけの都合で介護が必要にとなるような高齢者だけが来るようならお断りとなっても仕方ありません。
医療費や介護費の点からメリットが行政側や国民にとってあったとしても、縁もゆかりもない地方都市に介護だけを受けに行くイメージでは高齢者は動きません。
高校まで暮らしていた地元に戻らない人が、東京を捨ててまで出て行くには、それなりに理由がなければなりません。年金世代となり老後の蓄えがなくなってから東京を出て行くというのは難しく、具体化するには結局、行政が出す補助金とは違う、アクティブな高齢者が、移住する気にさせるような誘因や仕組みがないと難しそうです。
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■寺院消滅 失われる「地方」と「宗教」
鵜飼 秀徳 (著)
http://bit.ly/Jiinshometsu
価格:1,728円(税込み)
ISBN:978-4-8222-7917-2
発行元:日経BP社
発行日:2015/05/25
≪主な内容≫
【1章】 地方から寺と墓が消える
島を去る住職、来る住職 ある在家出身僧侶の奮闘記
地方と都市を彷徨う墓地 福沢諭吉のミイラと改葬
世界遺産の恩恵はどこへ 限界集落の空き寺 ほか
【2章】 住職たちの挑戦
「ゆうパック」で遺骨を送る時代/「本当に感動する葬儀をやりたい」 ほか
【3章】 宗教崩壊の歴史を振り返る
寺は消えてもいいのか/鹿児島が迎えた寺院・僧侶の「完全消滅」 ほか
【4章】 仏教教団の調査報告
浄土宗/曹洞宗/浄土真宗本願寺派/日蓮宗/臨済宗妙心寺派
【解説】 作家・元外務省主任分析官 佐藤優
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江戸時代に檀家制度が農民の支配の道具として用いられたのが、明治維新の後、廃仏毀釈で大きく変わり、さらに戦後の高度成長期の人口流出などで地方と都市部の間に大きな人口移動が地方の寺院の荒廃の原因の一つですがそれ以外に地域の経済が影響しています。
昔は地域経済が栄えていたものの…世界遺産ブームが去ってしまった島根県の石見銀山とか長崎の離島も含め、日本中で問題になっているのは、高齢者のみ残された地域ではお寺さんを維持するだけの檀家がどんどん減っていること。
一方、都市部周辺部ではお寺を新しく開設する動きがあるなど、最近の病院のトレンドと良く似ているなぁ・・・でした。
明治初期に廃仏毀釈の流れが強かった鹿児島ではお寺が一旦ゼロになったお話や戦時中の仏教が宗派を問わず、戦争に支援する側に回ったこと、さらに農地改革も寺院の経営に引いていることも発見でした。あと、檀家をほとんど持たない尼寺のことも非常に示唆深いものがあります。
最後に今後の高齢化社会でヒントになりそうなのは、ハワイに出てった仏教系寺院が日系2世までは祀るけど、その子らとなる日系3世となると結局、父親や母親の世代が仏教なのはわかる、でも自分たちは違うというコミュニティの連携が切れ、個人として仏教を信仰するかという話になり、檀家制度が今後も永続する保証はどこにもありません。
今回、日本創成会議・首都圏問題検討分科会が出した「高齢者の地方移住提言」は、受け入れを求められている地域コミュニティ側や高齢者予備軍にとっては寝耳に水、政府や東京側だけの都合で介護が必要にとなるような高齢者だけが来るようならお断りとなっても仕方ありません。
医療費や介護費の点からメリットが行政側や国民にとってあったとしても、縁もゆかりもない地方都市に介護だけを受けに行くイメージでは高齢者は動きません。
高校まで暮らしていた地元に戻らない人が、東京を捨ててまで出て行くには、それなりに理由がなければなりません。年金世代となり老後の蓄えがなくなってから東京を出て行くというのは難しく、具体化するには結局、行政が出す補助金とは違う、アクティブな高齢者が、移住する気にさせるような誘因や仕組みがないと難しそうです。
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■寺院消滅 失われる「地方」と「宗教」
鵜飼 秀徳 (著)
http://bit.ly/Jiinshometsu
価格:1,728円(税込み)
ISBN:978-4-8222-7917-2
発行元:日経BP社
発行日:2015/05/25
≪主な内容≫
【1章】 地方から寺と墓が消える
島を去る住職、来る住職 ある在家出身僧侶の奮闘記
地方と都市を彷徨う墓地 福沢諭吉のミイラと改葬
世界遺産の恩恵はどこへ 限界集落の空き寺 ほか
【2章】 住職たちの挑戦
「ゆうパック」で遺骨を送る時代/「本当に感動する葬儀をやりたい」 ほか
【3章】 宗教崩壊の歴史を振り返る
寺は消えてもいいのか/鹿児島が迎えた寺院・僧侶の「完全消滅」 ほか
【4章】 仏教教団の調査報告
浄土宗/曹洞宗/浄土真宗本願寺派/日蓮宗/臨済宗妙心寺派
【解説】 作家・元外務省主任分析官 佐藤優
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by skyteam2007
| 2015-06-08 07:30