2014年 01月 22日
看過されたもう一つの医療崩壊>矯正医官募集と壁の中 |
ニュースによると、
「矯正医療の在り方に関する有識者検討会」で話し合われてきた討論がまとめられ、「矯正施設の医療の在り方に関する報告書
~国民に理解され,地域社会と共生可能な矯正医療を目指して~」として出されたようです。
そもそも刑務所の中では医師は少数派です。だのに・・・ちっとも尊重されてこなかったので、下記のごとく状況になっていたようです。
『矯正医官については,近年,慢性的に定員割れの状況にあるところ,特に研修の在り方が問題視され始めた平成23年頃から急激に減少し,平成25年4月1日時点で,現員260名(このうち女性は41名で全体の約16パーセント)と72名の欠員が生じ,定員の2割以上が満たされていない状況にある
(中略)矯正施設では,①被収容者の急激な高齢化,②生活習慣病の増加,③疾病の複雑化・多様化,④一般社会における医療水準の高度化などの諸事情があいまって医療需要が増加し,かつ複雑化している一方,矯正施設の大半においては,医師不足等によりかかる需要に十分対応することが困難』…
読んでいるうちにクラクラ来てしまいます。病気を持つ患者さんというか受刑者がかなり高齢化していたり、いろいろ状況が悪いのに、減るがままにしてきたツケが一気に来ているようです。
その上、国費で賄っているので余計に出し惜しみするのはわからないでもないですが・・・。
医師にとってみたら、受刑者専門の医師なんてやりたいと思うかというとやや難問で、しかも給料が安くて・・・いろいろと問題があるようです。
あげられた解決方法として
・矯正医療についての国民の理解(関係者の言い訳用?)
・矯正医官の待遇改善
・執務環境等の充実
・医学研究に対する支援の充実
・地域医療との共生・連携強化及び矯正医療の外部委託の在り方
・その他
結局、民間病院や地域にある医療機関に完全アウトソーシングが一番いいと
思うのですが。何かあれば、病院の医師をきちんとした非常勤医師待遇で雇う
それ以外は地元の医療機関の枠で働く。
毎日、刑務所にお出かけするときは公用車で送り迎えから当然のように医師
として普通の扱いしたらいいのです。民間病院にそれを受けてもらったらそれ
だけで報酬が病院側に転がり込むし、法務医官も国家公務員という肩書を
捨てて、自由に学会に行ける方がよっぽど幸せです。
もうすぐ古いブログに掲載した記事が消されちゃうけど、前に書いた記事を一部転載しておきます。
■自作自演乙!?塀の中の医師不足と「カラ研修」
2012/12/28
病院も医師不足が問題になっていますが、こっちはもっと問題。自分も以前、公的病院や厚生省の管轄でお仕事してたことあるけど、やっぱり条件が悪い。
しかも、あんまり大切にされない。医局の人事でまわしていたのに、あまりに待遇が悪くて、誰も行かなくなった勤務先とか、気づいたら医師が消えてしまっていたり・・・しかも条件のはずの外勤日に「【茨城】医師が“カラ研修”1370万円不当支給 検査院指摘」の記事のように「研修 に行かず、給与を不当に受け取っていた」とか言われたりしたら、その「医師が退職して以降、後任の常勤医(定員1人)を補充できず、非常勤の医師でやりくりしている。」
せっかくの医師を取り逃がしてしまうなんて、やはりダメぽですね・・・。受刑者の高齢化で医療のニーズもますます高まっているのだから、杓子定規ではなく、勤務体系や雇用条件を工夫して「カラ研修」とかニュースに出さないようにちゃんと対策しないと、継続していくのは難しいでしょうね。
職場探しに困っていない医師にとってみれば、給料の高いとか低いよりは「働きがい」があるかどうかとか「使命感」が勝負でしょう。
残念ながら、法務省のようにまったく畑違いだと、医師が休みが取れるとか勤務体系が楽(といってもいろいろと条件があったり、市中の病院と違うってのもあるし)だけでは今時の医師は動かされないかも・・・。
ちゃんとした最新の医療を学んだり、様々な形でやりがいがあることを伝えていかないと厳しそうです。
過労死寸前で病院を立ち去っても、刑務所の法務医官のポストが埋まらないのはやはり、どういう仕事なのかきちんと情報がないと厳しいのではないかな。
とりあえず募集はこちらまで
法務省 矯正局(矯正管区)矯正医官募集 医師求人情報
http://www.e-doctor.ne.jp/contents/special/kyouseiikan/index.html
■羊頭狗肉:刑務所の医師の実態を知らせたら無理ですな
2013/06/05
「ほぼ定時に帰宅でき、当直はありません。青年たちの成長にぜひお力を貸してください」
「研究日も週2日間確保できるため、ゆったり働けます」
とか言ってもねぇ・・・メディアが伝える「背景には深刻な医師不足や矯正施設で働く利点の少なさ」とは裏腹に、医師が“カラ研修”1370万円不当支給 検査院指摘にあるような「常勤医師の“カラ研修”」の取り締まりに余念がないようで、我々の理解からすると、今いる医師を大切にしないで、誰が行くもんだろうか?です。
自業自得あるいは羊頭狗肉ということが思い浮かびます。法務官僚の頭の中は理解しようもないのですが、自分たちで作った規則を曲げるような弾力的運用はできず、さりとて作ったルールを撤廃することもできず・・・です。
「健康管理や急患への対応」
だけでいいのなら周辺の病院と連携だけでも出来るので、とっとと外部にアウトソーシングできるように法律かえたらいいやん・・・汗。
あと、医師が魅力的な仕事場に変えるために、法務省だけでなく霞ヶ関でやはり何か考えないといかんでしょうな。(海外の人事交流とかで、同じ職種との交流とか・・・ないか汗)
ちなみにアメリカの刑務所の医師については・・・
■Confessions Of A Prison Doctor
http://jobs.aol.com/articles/2013/03/22/doctor-prison-jail/
これみるとプライマリケア医をやるよりも短い時間で稼げるからってことで14万ドルからでした(いろいろありますねぃ)
■Prison doctors get higher pay for dangerous job
http://photoblog.nbcnews.com/_news/2012/10/19/14562509-prison-doctors-get-higher-pay-for-dangerous-job?lite
こちらで取り上げられているお医者さんは、
highest paid prison doctor last year, earning a base salary of $239,572 and an additional $169,548 for working overnight shifts, weekends and holidays.
なんで、えーと通常の給料が2400万円に加えて、当直シフトや週末・休日勤務で合計4000万円・・・汗。
まぁ、こういうところアメリカって割り切りが欲しいし、そういう気概がない限りよくもなりません。
壁の外が医師不足で医療崩壊が報道されているの中、大学医局からの派遣や応募を受けたいなら、医師が外部研修を受けたり自由度を増すなどの待遇改善(と規則の弾力的な運用)をするしかありません。
医師は刑務所で思う様に働けていないんだから、非常勤も常勤医師も外部で働く、報酬のことや時間外の労働については文句言わないってくらいじゃないと無理でしょうね。
無理なら、やっぱ病気になりがちな人は施設に統合してあとはパート医師と特定看護師のようなシステムでうめていくしかないですよね。
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刑務所医師不足解消へ給与増額・規制緩和提言 法務省検討会
日経新聞 2014/1/21
刑務所や拘置所などの医師不足対策を検討してきた法務省の有識者検討会は21日、給与の増額や兼業規制の緩和などを盛り込んだ待遇改善案をまとめ、谷垣禎一法相に提出した。刑務所などの医師は慢性的な不足が続き、定員の8割に満たない状態。常勤医が不在の施設も31カ所に上る。法務省は関連法の改正などを視野に、制度見直しに取りかかる。
刑務所や拘置所、少年院などの矯正施設で働く医師は「矯正医官」と呼ばれる国家公務員。法務省によると、常勤医を置くと定められている矯正施設は全国163カ所、定員は332人だが、常勤の医官は2013年4月時点で260人と2割以上の欠員が出ている。(以下略)
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「矯正医療の在り方に関する有識者検討会」で話し合われてきた討論がまとめられ、「矯正施設の医療の在り方に関する報告書
~国民に理解され,地域社会と共生可能な矯正医療を目指して~」として出されたようです。
そもそも刑務所の中では医師は少数派です。だのに・・・ちっとも尊重されてこなかったので、下記のごとく状況になっていたようです。
『矯正医官については,近年,慢性的に定員割れの状況にあるところ,特に研修の在り方が問題視され始めた平成23年頃から急激に減少し,平成25年4月1日時点で,現員260名(このうち女性は41名で全体の約16パーセント)と72名の欠員が生じ,定員の2割以上が満たされていない状況にある
(中略)矯正施設では,①被収容者の急激な高齢化,②生活習慣病の増加,③疾病の複雑化・多様化,④一般社会における医療水準の高度化などの諸事情があいまって医療需要が増加し,かつ複雑化している一方,矯正施設の大半においては,医師不足等によりかかる需要に十分対応することが困難』…
読んでいるうちにクラクラ来てしまいます。病気を持つ患者さんというか受刑者がかなり高齢化していたり、いろいろ状況が悪いのに、減るがままにしてきたツケが一気に来ているようです。
その上、国費で賄っているので余計に出し惜しみするのはわからないでもないですが・・・。
医師にとってみたら、受刑者専門の医師なんてやりたいと思うかというとやや難問で、しかも給料が安くて・・・いろいろと問題があるようです。
あげられた解決方法として
・矯正医療についての国民の理解(関係者の言い訳用?)
・矯正医官の待遇改善
・執務環境等の充実
・医学研究に対する支援の充実
・地域医療との共生・連携強化及び矯正医療の外部委託の在り方
・その他
結局、民間病院や地域にある医療機関に完全アウトソーシングが一番いいと
思うのですが。何かあれば、病院の医師をきちんとした非常勤医師待遇で雇う
それ以外は地元の医療機関の枠で働く。
毎日、刑務所にお出かけするときは公用車で送り迎えから当然のように医師
として普通の扱いしたらいいのです。民間病院にそれを受けてもらったらそれ
だけで報酬が病院側に転がり込むし、法務医官も国家公務員という肩書を
捨てて、自由に学会に行ける方がよっぽど幸せです。
もうすぐ古いブログに掲載した記事が消されちゃうけど、前に書いた記事を一部転載しておきます。
■自作自演乙!?塀の中の医師不足と「カラ研修」
2012/12/28
病院も医師不足が問題になっていますが、こっちはもっと問題。自分も以前、公的病院や厚生省の管轄でお仕事してたことあるけど、やっぱり条件が悪い。
しかも、あんまり大切にされない。医局の人事でまわしていたのに、あまりに待遇が悪くて、誰も行かなくなった勤務先とか、気づいたら医師が消えてしまっていたり・・・しかも条件のはずの外勤日に「【茨城】医師が“カラ研修”1370万円不当支給 検査院指摘」の記事のように「研修 に行かず、給与を不当に受け取っていた」とか言われたりしたら、その「医師が退職して以降、後任の常勤医(定員1人)を補充できず、非常勤の医師でやりくりしている。」
せっかくの医師を取り逃がしてしまうなんて、やはりダメぽですね・・・。受刑者の高齢化で医療のニーズもますます高まっているのだから、杓子定規ではなく、勤務体系や雇用条件を工夫して「カラ研修」とかニュースに出さないようにちゃんと対策しないと、継続していくのは難しいでしょうね。
職場探しに困っていない医師にとってみれば、給料の高いとか低いよりは「働きがい」があるかどうかとか「使命感」が勝負でしょう。
残念ながら、法務省のようにまったく畑違いだと、医師が休みが取れるとか勤務体系が楽(といってもいろいろと条件があったり、市中の病院と違うってのもあるし)だけでは今時の医師は動かされないかも・・・。
ちゃんとした最新の医療を学んだり、様々な形でやりがいがあることを伝えていかないと厳しそうです。
過労死寸前で病院を立ち去っても、刑務所の法務医官のポストが埋まらないのはやはり、どういう仕事なのかきちんと情報がないと厳しいのではないかな。
とりあえず募集はこちらまで
法務省 矯正局(矯正管区)矯正医官募集 医師求人情報
http://www.e-doctor.ne.jp/contents/special/kyouseiikan/index.html
■羊頭狗肉:刑務所の医師の実態を知らせたら無理ですな
2013/06/05
「ほぼ定時に帰宅でき、当直はありません。青年たちの成長にぜひお力を貸してください」
「研究日も週2日間確保できるため、ゆったり働けます」
とか言ってもねぇ・・・メディアが伝える「背景には深刻な医師不足や矯正施設で働く利点の少なさ」とは裏腹に、医師が“カラ研修”1370万円不当支給 検査院指摘にあるような「常勤医師の“カラ研修”」の取り締まりに余念がないようで、我々の理解からすると、今いる医師を大切にしないで、誰が行くもんだろうか?です。
自業自得あるいは羊頭狗肉ということが思い浮かびます。法務官僚の頭の中は理解しようもないのですが、自分たちで作った規則を曲げるような弾力的運用はできず、さりとて作ったルールを撤廃することもできず・・・です。
「健康管理や急患への対応」
だけでいいのなら周辺の病院と連携だけでも出来るので、とっとと外部にアウトソーシングできるように法律かえたらいいやん・・・汗。
あと、医師が魅力的な仕事場に変えるために、法務省だけでなく霞ヶ関でやはり何か考えないといかんでしょうな。(海外の人事交流とかで、同じ職種との交流とか・・・ないか汗)
ちなみにアメリカの刑務所の医師については・・・
■Confessions Of A Prison Doctor
http://jobs.aol.com/articles/2013/03/22/doctor-prison-jail/
これみるとプライマリケア医をやるよりも短い時間で稼げるからってことで14万ドルからでした(いろいろありますねぃ)
■Prison doctors get higher pay for dangerous job
http://photoblog.nbcnews.com/_news/2012/10/19/14562509-prison-doctors-get-higher-pay-for-dangerous-job?lite
こちらで取り上げられているお医者さんは、
highest paid prison doctor last year, earning a base salary of $239,572 and an additional $169,548 for working overnight shifts, weekends and holidays.
なんで、えーと通常の給料が2400万円に加えて、当直シフトや週末・休日勤務で合計4000万円・・・汗。
まぁ、こういうところアメリカって割り切りが欲しいし、そういう気概がない限りよくもなりません。
壁の外が医師不足で医療崩壊が報道されているの中、大学医局からの派遣や応募を受けたいなら、医師が外部研修を受けたり自由度を増すなどの待遇改善(と規則の弾力的な運用)をするしかありません。
医師は刑務所で思う様に働けていないんだから、非常勤も常勤医師も外部で働く、報酬のことや時間外の労働については文句言わないってくらいじゃないと無理でしょうね。
無理なら、やっぱ病気になりがちな人は施設に統合してあとはパート医師と特定看護師のようなシステムでうめていくしかないですよね。
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刑務所医師不足解消へ給与増額・規制緩和提言 法務省検討会
日経新聞 2014/1/21
刑務所や拘置所などの医師不足対策を検討してきた法務省の有識者検討会は21日、給与の増額や兼業規制の緩和などを盛り込んだ待遇改善案をまとめ、谷垣禎一法相に提出した。刑務所などの医師は慢性的な不足が続き、定員の8割に満たない状態。常勤医が不在の施設も31カ所に上る。法務省は関連法の改正などを視野に、制度見直しに取りかかる。
刑務所や拘置所、少年院などの矯正施設で働く医師は「矯正医官」と呼ばれる国家公務員。法務省によると、常勤医を置くと定められている矯正施設は全国163カ所、定員は332人だが、常勤の医官は2013年4月時点で260人と2割以上の欠員が出ている。(以下略)
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by skyteam2007
| 2014-01-22 17:27
| 医療