[救急車]安易な利用はお控えください |
そろそろ利用者負担も仕方ないかと思います。歩いて下りてくる搬送患者さん(もちろん入院になどなりません)、とにかく病院に運んでくれないタクシーがわりの急性アルコール中毒患者さんの搬送など無駄が多すぎます。自分としては「安易な理容は本当の救急患者さんの迷惑になっている」ことを知ってもらいたいです。ぽち→
緊急度に応じ搬送順位づけ
トリアージ導入へ消防庁が運用実験
総務省消防庁は、通報順に救急車を出動させる現行方式では救える命も救えなくなるとして、今年7月、医師や法学者らによる作業部会を設け、トリアージ導入に向けて検討を始めた。今月15日からは運用基準のたたき台を作るため、札幌、仙台、横浜、京都の4市で運用実験を進めている。
119番通報を受けた指令員らが、患者の意識や呼吸の有無、けがの部位などを聞き取り、救急車が必要な患者かどうかを判断する。実験では通報順に救急車を出動させるが、医療機関の診断結果と照合し、通報段階でどの程度まで患者の状態を把握できるかを検証する。1か月で1万~2万人のデータを集める予定だ。
同庁によると、2005年の救急車出動件数は過去最多の528万件。10年前の1・6倍で、通報から現場到着までの平均所要時間も30秒遅い6分30秒だった。
心肺停止から5分以内に救命措置を始めないと、救命率が急激に下がるとされるが、平均所要時間はこのラインを超えた。搬送者の52・1%は入院の必要がない軽症者で、「救急車で搬送されれば、待たずに診療を受けられる」「救急車なら早く来てくれる」と119番通報した事例も多い。
◆判断ミス懸念の声も
しかし、通報段階でのトリアージには、選別を誤った場合のリスクを懸念する声もある。京都市消防局は、独自に通報内容と現場到着時の容体の違いを調査。その結果、「意識あり」の通報で重症ではないと判断した患者のうち、救急隊到着時に意識がなかった例が0・9%あった。同局は「100人に1人でも誤る可能性がある限り、導入は難しいのでは」と指摘する。
東京消防庁も通報段階での運用は当面見送るが、現場に到着した救急隊員が容体を見極め、軽症の場合は引き返す「現場トリアージ」の導入を検討。搬送を減らすことで、救急車の回転効率を高める狙いだ。
悪質119番許さない! 横浜市罰則化の動き
タクシー代わり 具合悪いのはペット…
救急車をタクシー代わりに使ったり、病気やけがが軽い症状でも119番通報したりするケースが増え、総務省消防庁は、緊急度に応じて救急搬送の順位づけをする「患者の選別(トリアージ)」の導入を検討している。
◆救急車出動 最多528万件…10年で1.6倍
この10年で救急車の年間出動件数は190万件も増加。これに伴い、救急車の到着時間が年々遅くなる中、軽症者の搬送で重症者が救えなくなる恐れがあるとして、横浜市は、悪質な利用者に過料を科す条例作りに着手した。(横浜支局・田中誠之、地方部・梅沢清次)
「救急車を呼ぶケースに当たらない119番通報には、過料徴収も検討すべき」。横浜市で、有識者や市民代表でつくる「横浜市救急業務委員会」が、こうした報告書をまとめたのは今月15日。
人口約360万人と国内第2の大都市・横浜市では昨年、14万9000人が救急車で搬送されたが、うち58%は入院の必要がない「軽症」とされている。「『子供が熱を出した』という通報で駆け付けたが、具合が悪いのはペットだった」など、委員会の調査でも、あきれるばかりの利用実態が数々、浮かび上がった。
同市保土ヶ谷区の消防指令センターで指令管制員を務める金子秀二消防士長(43)は、119番通報者から「救急車なら早く診てもらえるから」と言われた苦い経験を明かす。「軽症と思われる通報者に救急車を向かわせた直後、その近くで重症者の通報が入ることも少なくない」。金子さんは顔を曇らせる。
こうした中、委員会は、罰則と並んで救急車の有料化も検討した。日本では、消防組織法によって救急車の救急出動費用は市町村が負担することになっている。有料化を導入している米ニューヨーク市を参考に、料金のシミュレーションも行ったが、一人暮らしの高齢者が増加していることを考えると、導入には慎重にならざるを得ない。
さらに、何を「悪意」ととらえるかも難しい問題だ。最終的に軽症でも、通報時に重症とみてもやむを得ない場合もあるためだ。
このため、横浜市は、「悪意のある利用者」を判定する第三者機関も設置する方針。罰則対象については、通報内容が虚偽だったり、症状を誇大に言ったりする「不適正で悪意のある通報者」を想定しており、今後、過料の額や徴収方法、市民への周知期間などを検討した上で、来年度中の条例案提出を目指す。
また、この条例で、市が行う救急搬送とそれ以外の業務に分類することも検討。救急搬送はこれまで通り救急車で対応するが、緊急性を要さないケースでは、専門の相談窓口や医療機関、民間搬送事業者を紹介することにしている。
横浜市の常陸(ひたち)哲生(てつお)救急課長は「条例の目的は過料を科すことではなく、必要のない出動を減らして、患者の救命率を向上させること。救急車本来の目的を市民に理解してもらいたい」と話している。
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◆救命率向上が大前提
横浜市では、市のごみ収集車が毎朝のように、救急車の適切な利用を呼びかけながら走り回っている。
救急隊員から、非常識な通報を続ける“常連さん”の話を聞いたことがある。オオカミ少年のイソップ寓話(ぐうわ)が思い起こされるが、“常連さん”がタクシー代わりに呼んでいると察しても、救急車は出動しないわけにいかない。本当に一刻を争うケースかもしれないからだ。
モラルや常識が通用しない人たちに、どう対応するか――。罰則の導入は有効かもしれない。だが、それは、救命率の向上につながることが大前提で、必要な緊急通報をためらうことがないよう、市民から十分な理解を得ることが欠かせない。(田中)
トリアージ 語源はフランス語の「選別」。救命率を高めるため、重症者から順に治療や搬送をする方式。大勢の負傷者が出た災害や事故現場などでも行われる。国内では2005年4月のJR福知山線脱線事故で初めて大規模に実施された。